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【Travel】シンガポールの嵐 | 東京フィル100周年記念ワールドツアー

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ツアーはいよいよヨーロッパを離れ、アジアへ。

英国から、14時間のフライトののち到着した旧植民地シンガポールは、気温33℃。のしかかる湿度と照りつける太陽にびっくり!

シンガポール入りした19日の夜には、有志メンバー5人とマエストロ大植が、シンガポール国立大学内にある「ヨン・シュウトゥ音楽院」を訪れ、マスタークラスを指導した。メンバーは学生オーケストラに加わり、マエストロの指揮によって、マーラー交響曲第5番のリハーサル。

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あきらかにアジアに戻った、と感じたのは、シンガポール音楽院の女性担当者に会ったとき。オレンジのドレスにジャケットとベルトのあしらいが、びっくりするほどオシャレ。こんな女子、欧米にはいなかった!

翌朝は快晴。街行く女子のオシャレさに刺激され、午前中は予定どおりショッピングへ。CHARLES & KEITHで白いサンダルを購う。公演後にはマリーナ・ベイ・サンズでの打ち上げもあるのでドレスアップした。

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会場にあったフードコート。奥にはマリーナ・ベイ・サンズが見える。開発地区のためか、観光客向けの“屋台感”はあるがほどよく清潔。チキンライスは壮絶に美味だった。やはり食はアジア!

3月20日。到着した会場のエスプラネードは、2002年にオープンした総合芸術文化施設。川を挟んだ対岸にはマーライオン。巨大で美しい建物や照明が、新しい国の威信を感じさせる。リハーサルには、昨夜のマスタークラスを受講した音楽院の学生も見学に訪れた。これまで小さめのステージにいっぱいになって演奏してきた楽員からは、広く響くホールに満足げな声も多く聞かれた。

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午後7時半、開演。マエストロがステージに登場しただけで、客席から声援が巻き起こる。さらなる熱狂を期待したが、さすがアジアというべきか、聴衆はこれまででいちばん優等生的。現代音楽の「舞楽」に関しては、欧米に比べるとわずかに反応が薄かった。しかし、赤いドレスの竹澤が登場し、ドラマティックなヴァイオリン協奏曲がはじまると、前のめりになる聴衆が目立ちはじめる。会場を浮かせた熱気のままなだれこんだ「春の祭典」の大団円にいたっては、大興奮の喝采。まさに嵐のようだった。

春の祭典」は、これが楽日だった。終演後、舞台裏では「おつかれさま」の声とともに地ビールで乾杯の発声が上がった。ツアー中4回あった「春の祭典」のソロをすべて担当したファゴットのチェ・ヨンジン、また「ニューヨーク・タイムズ」に絶賛された打楽器の高野和彦へのねぎらいの声も多数聞かれた。ヨンジンが「故障で休団中もずっと待っていてくれたオーケストラに、ようやく恩返しできた」と語っていたのが、強く印象に残っている。

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その後、三木谷理事長の主催による打ち上げも行われた。「楽団員の皆さんにぜひ会ってねぎらいたい」と場を設けた理事長の気持ちに、メンバーは全員のサインを入れたツアーTシャツで応えた。誇らしげにTシャツを受け取った理事長は、「このツアーによって、東京フィルは日本のプレゼンスを十二分に示した。当初『BUGAKU』のような難しい曲が受け入れられるか不安はあったが、それは杞憂だった。そのチャレンジによって東京フィルは真の“日本代表”になったと思う」と語った。

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(「ワールドツアー2014報告書」初出) 

打ち上げでは、楽団員や楽天のみなさんと記念撮影も。楽しくも、ツアーの終わりを前にせつなさを感じる夜だった。

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シンガポールは、ホテルのインテリアとサービスも最高だった。ヨーロッパのときめきとは違うけれど、移住する日本人の気持ちもわかる快適さ。最新のファッションの裏にある、ちょっぴりけだるげな風情もよかった。

このシンガポールで、何人かの楽員は帰国の途についた。喝采のなかで、あの「春の祭典」、あの緊張感にみちたワールド・ツアーの音はもう二度と聴けないのだ、という事実に愕然とした瞬間が忘れられない。

終わりたくない、という気持ちとシンクロしたのか、その夜のオーケストラの音はどこかせつなげに耳に残った。

バンコクへつづく)

 


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