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【Art】いとしきロココの肖像 | 国立新美術館「ルーヴル美術館展」

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3月。帰京して一息、めぐみさんとルーヴル美術館展へ(※撮影は2/20内覧会にて)。

今回のルーヴル展、副題は「日常を描く――風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」。厳選された約80点を通して、16世紀から19世紀半ばまでのヨーロッパの人々の暮らしを覗き見るような展覧会だ。

プロローグでは、「風俗画の起源」としての古代の陶器につづいて、“序列”の順に歴史画・肖像画・風景画・静物画・風俗画という5つの「絵画のジャンル」が紹介されている。わたしのお気に入りは、リュバン・ボージャンの『チェス盤のある静物』。

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17世紀フランスの画家ボージャンは、もっとも高尚とされた宗教画を数多く手がけたにもかかわらず、わずか4点の静物画によって今日に知られる画家だ。 モチーフは視覚(鏡)、聴覚(マンドリンと楽譜)、嗅覚(花)……といったぐあいに五感と関連づけられている。なによりもチェス盤と洗練された色彩がもたらす神秘的な雰囲気が魅力的だ。

その後につづく本編では、「労働と日々」「雅なる情景」「室内の女性」など、テーマに沿ってさまざまな時代の画家の作品が隣り合っている。家事にいそしむ女主人や使用人、物乞い、占い師、商人など、描かれるモチーフは同じなのに、時代(あるいは地域)によって色彩やタッチが変化するのにはっとする。

眺めていると、どうしても女性の肖像に惹かれる自分に気づく。

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 写真は第5章「室内の女性」で紹介されるフランソワ・ブーシェの名作『オダリスク』。イスラムの後宮の美女、という枠組みを用いて画家の妻を描いたともいわれるこの女性像、薔薇色の肌とブルーグレーのシーツ、ロイヤルブルーの掛布のコントラストが夢のように美しい。絨毯や調度のカラリングも、そのまま部屋に置きたいようなスタイリング。

エロティック、不道徳という異性の観点でばかり語られがちなロココの風俗画だが、女子的にはいとおしいことこの上ない。めぐみさんと共感しあいながら、ポンパドゥール侯爵夫人が愛したことにも納得してしまった。

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ジャン=バティスト・グルーズ『割れた水瓶』も同様だ。偉い批評家が「道徳性を評価した」かはともかく、なによりも立ちすくむ美少女の虚無的な表情や、こぼれ落ちる薔薇の花が美しい。それでいいのだと思う。持ち主だったデュ・バリー夫人だって、きっとその美をこそ愛したのではないだろうか。

ジャン⁼アントワーヌ・ヴァトーやフラゴナールも登場するロココの絵画が、やはりどうしてもいとおしい。ミュージアムショップでも散財してしまいそう。

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真っ先に選んだロココセット。小箱は絵画をモチーフに、紅茶味やレモン味がセレクトできるスペイン菓子「ボルボローネ」。アンリ・ルルーのルーヴル展特製パッケージもかわいい。

内覧会で試聴した音声ガイドでは、ロココ絵画にマラン・マレフランソワ・クープランの音楽が添えられている。ガイドにも使用されたアルバムも全編がすてきだ。

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展覧会の後は、東京ミッドタウンで「フランス街角めぐり」。リッツ・カールトン・ホテルのカフェでは、ルーヴル美術館のシンボルにして人類の英知を表すピラミッドを象った「スターアニス イヴォワール ラズベリーピラミッド」。運気が上がりそうだ。

つづいてとらやでは、2005年にパリ店25周年を記念して誕生したという琥珀羹「ルーブルの光」を煎茶とともにいただいた。紅白のボルドーワインを使用しガラス細工のようなゼリー。どこか懐かしい味に気持ちがほどける。

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四角錐を写真におさめるのは一苦労だったが、楽しく優雅な昼下がりに。「ルーブルの光」は和の包みに添えられたさりげないトリコロールもかわいくて、おもたせにもおすすめだ(4/20までの限定販売)。

芸術は日常であり、日常こそが芸術。

「やっぱり老舗はいいね」と話しながら、親切な店員さんに記念撮影をしていただく。Salon de Mは、こういうロココ的空間をこそ愛していきたいと、あらためて。

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ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄|日本テレビ