【Life】Read Gracefully プリンセスの読書ライフ~実践編[1]Marie Antoinette
こんにちは、高野麻衣です。
紙版「花園magazine」Vol.3の発売から、早いもので1カ月。お買い上げいただいた皆さま、メッセージをくださった皆さまに心より御礼申し上げます。通販はひきつづき受付中。バックナンバーのうちVol.1の英国特集は在庫僅少となっておりますので、ご興味のある方はお早めにご連絡くださいませ。
さて、Vol.3のなかでもとくに「女性誌っぽさ」にこだわって作ったのが、「Read Gracefully プリンセスの読書ライフ」。
マリー・アントワネット、エリザベート、ルクレツィア・ボルジア、キャサリン妃という時空を超えた4人のマイ・フェイヴァリット・プリンセスたちを登場人物に、「彼女たちが現代の女の子だったら、どんな本を読んで、どんな暮らしをするだろう」という空想からはじまったスタイリングです。
フランス、ウィーン、ローマに英国というそれぞれの舞台やエピソードにちなんで、本やBGMや衣食住をセレクトしていくのは、とても魅惑的な時間でした。ただ、写真中心のスクラップブックのようなヴィジュアルにこだわったため、お店や商品の詳細説明をしっかり入れられなかったのがくやしかった。そこで、足りなかった「情報」の一部をWebで公開!
[1]Marie Antoinette
現代日本でマリー・アントワネットを語るにあたって避けては通れないもの、それはもはや『ベルサイユのばら』ではなく、ラデュレ(LADUREE)なのかもしれません。
イメージソースはご存知、映画『マリー・アントワネット』(原作:アントニア・フレイザー、監督:ソフィア・コッポラ、2006)。オーストリア皇女とフランス・ブルボン家の王太子の婚礼からフランス革命のはじまりまでを、ヴェルサイユ宮殿ロケを敢行して華麗に描ききった歴史ものでありながら、衣装や小道具に関しては時代考証をあえて無視し、現代的色彩の美しいドレスやマノロ・ブラニクのミュール、ラデュレのマカロンやニューロマンティックのロック・ミュージックなどをふんだんにもりこんだガールズ・バイブルです。
その実体は「あるプリンセスの青春とその終焉」。 パーティー暮らしに明け暮れていたマリーが、ある時期から白い田舎風のドレスに身をつつみ、プチ・トリアノンに引きこもるようになるシーンが好きです。楽園のような庭の草上でルソーを読むシーンは、わたしの「優雅な乙女たちの読書会」の象徴なのです。
マリー気分で読書するなら、銀座・三越のサロン・ド・テ。客層やホスピタリティに若干のエクスキューズはありますが、装飾のすばらしさとマカロンの美味しさにかけては他の追随を許しません。
インテリア・デザインを担当したロクサーヌ・ロドリゲスにお会いしたことがあるのですが、彼女の高貴さと洗練はまさにパリジェンヌ。銀座店は、サンジェルマン・デ・プレ店がモデルとのことで、ルイ16世時代から着想をえた一続きの小さなサロンから成り立っています。「サロン・マリー・アントワネット」は、ブルーグレイを基調にプラチナがアクセント。スワロフスキーのシャンデリアとショフーズ(座部の低い椅子)が美しんく並んでいます。
「サロン・オ・ペール」のオールドピンクとライラックの色調も大好き。バラの花を飾った窓辺の小さな円卓とベルベットの椅子は、真似したいインテリアNO.1でしょう。 http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13053865/
サロン開店当時から、パティスリーのみならずスクレ・ラデュレ(キャンドルやルームフレグランス、ショップバッグといったギフト)やラデュレ・ボーテ(アーモンドをベースにしたボディケアライン)は大人気でした。そんな反響に合わせ、満を持して登場したのがレ・メルヴェイユーズ・ラデュレ(コスメティックライン)。バラの花びらのチークでおなじみです。
この冬のホリデーコレクションのテーマは「オペラ座の舞踏会 Bal a l'opera」。
1年の終わりに開かれる大きな舞踏会。大時計が真夜中の12時を打つとき、タフタの裾の音をかすかに立てながら、メルヴィイユーズたちはオペラ座の高い階段を上ります。……
これです。私たちがおしゃれに求めている「物語」を、おしげもなく与えてくれるのがメルヴィイユーズなのです。
私がオードリー・ヘップバーンの映画や『マリー・アントワネット』とおなじくらい、すりきれるくらいリピート再生しているGOSSIP GIRL。
それもそのはず、このドラマシリーズ、放映開始が2007年。とくに初期においては、さまざまな点において前年の『マリー・アントワネット』の影響下にあると考えられます。花園編集部ではVol.2のGG風グラビア撮影前に観賞会をし、「ロイヤルをもたないアメリカ人による、アメリカ人のための宮廷劇」という話題で盛り上がったのですが、それならさしづめブレアこそが現代のマリー・アントワネットです。
マリー・アントワネットのファッションを現代で、というと、よくあるのが映画に登場したマカロン・カラーのアイテムによるコーディネイト。ちょっと凝ったことをすると、それこそブライズ・メイズか、下手をするとハロウィンのコスプレになってしまいます。
プラクティカルな読書スタイルとして私が提案したいのは、ドラマの中でブレアが身にまとっている部屋着やランジェリー。サロン・ド・テには着ていけませんが、「読書は自宅派」の私にとってはリアルなセレクトです。
ブレアの部屋着やインテリアはほんとうにすべて欲しいくらい、好みのど真ん中。昔のPJならいざ知らず、日本では売っていないのだろうな、とあきらめていたのですが最近発見。ピンク・フラート(Pink Flirt)、とても気になっています。アイマスクが早くから注目されていたようで、シルクサテンのコンフォートカバーやピロケースも、絶妙な色合わせ。黒で締めているところが、モダンになるポイントかな。
余談ですが、この秋冬の女性誌では「PARISクラシック」(JJ 1月号)「PARISっぽい」(MISS plus 1月号)という単語が目につくのでとてもうれしい。「将来の夢=プリンセス(本気)」のブレアもパリが大好きですし、オリヴィア・パレルモなどの甘コーデ(=赤小物)の影響もあるのでしょうか。とある学生読モさんが寄せていたコメントに、胸が高鳴りました。
“お姫様になりたい”――誰もが描いた夢を叶えてくれる街
永遠に、そうでありますように。
(「花園magazine」初出)