【News】ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015記者発表会
師匠ルネ・マルタンが来日、今年もラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの記者発表が開かれた(2/12)。
今年のテーマは「PASSIONS(パシオン)恋と祈りといのちの音楽」。
語尾に「S」がつく、フランス語のPASSIONS。パッションではなく、パシオン。それはいわゆる情熱だけではなく、魂の奥底からあふれる強い感情すべてを表す言葉だ。ホームページなどを目にした人は、このテーマや、これまでにないシックなヴィジュアルに驚いたかもしれない。
これまでは「ベートーヴェン」「ウィーン世紀末」など、ある作曲家やある時代をテーマにしてきたラ・フォル・ジュルネだが、11年目の今年から、こうした普遍的なテーマをすえてリニューアルすることになったのだ。
「ルネサンスやバロックから現代まで、過去5世紀にわたる歴史のなかから『祈り』『恋』『いのち』の3つのパシオンをテーマに、400曲を選びました。モンテヴェルディのマドリガーレ、バッハの受難曲、ベートーヴェンの『熱情』や『月光』、ベルリオーズの幻想交響曲、そしてプーランクの『人間の声』……」
マルタンのことばに熱がこもる。
「熱情」はわかりやすいが、なぜ「受難曲」なの、と思う人もいるかもしれない。しかし、そもそも「パシオン」はこれらの音楽の原題だ。語源であるpassiveは「受けること」。宿命をうけて、人びとの気持ちが動かされること、悩み苛まれること、どこかへつれさられること、と考えてもいいのかもしれない。そう考えると、とてもドラマティックでちょっぴり官能的だ。
以前、連載のためのインタビューのなかでマルタンは、こんなふうに語っていた。
バロックにおけるパッションならば、それは心に秘めた感情であり、魂のほとばしりを決して外には出さない、優雅なものになるでしょう。それは、日本人の精神性にも通じるものではないかと、僕は思っています。最近観た是枝裕和監督の映画『そして父になる』にも、そうした深い情感が描かれていました。そういうニュアンスから、日本の伝統音楽や世界の民族音楽にも接続していけないだろうか、などとと吟味しているところなのです。
こんなふうに、映画や文学を愛する大人たちにも聴いてほしい内容になっている、と私は思う。
15日放送のOTTAVA Domenica http://www.ottava.jp/ では共演のジャーナリスト林田直樹さん&飯田有抄さんのナント現地報告を、21日のSalon de Mでは、女優・小橋めぐみさんと文学をまじえた「パシオン」をたっぷりご紹介していく。
おすすめのコンサートや必聴のアーティスト、チケットの選び方などなんでもお答えしていきたいので、ぜひともお楽しみに!
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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2015公式サイト
【出演】Salon de M 第1回「恋のパシオン!~ラ・フォル・ジュルネ2015を100倍楽しむ方法」 - Salonette
▼テーマが決定したときから何度も思い出している少女小説の傑作。「プレリュード(前奏曲)」からはじまった若い恋人たちの「受難曲」を描く。