【連載】続・晴雨計 第6回 「別離」
真田丸 第25回「別離」。
息子を喪った茶々の嗚咽という、幕切れ。ここ数週、三谷幸喜が描く敗者の美、滅びの予感といったものにえぐられ続けている。
もうひとつが、好敵手同士の絆。
茶々が感情を解放できたのが、唯一、おなじ男を分かちあう正室・寧の腕の中だったということに、なにより胸を打たれた。
「ライヴァルふたりの絆は、愛の対象とふたりをそれぞれ結びつける絆と同程度に激しく強い。」――セジウィックの名著『男同士の絆』を引用してしまうくらい、印象深いシーンだった。
思えば12年前の『新選組!』でも、第25回は「新選組誕生!」。
芹沢鴨を暗殺し、祇園祭=池田屋事変に向かって絶頂期にあり、それゆえに「おわりのはじまり」感が漂いすぎていて、ぞくぞくした。
いま、石田三成(山本耕史)がなにか言うたびに「副長!!」と反応してしまうのはそのせいなんだけど、そういう個人的な萌えを超越した三谷さんの圧倒的な美学みたいなものに、ほんとうに感動してしまう。
歴史を描くというのは、別のやりかたで人生を表現することだと思う。
- 作者: イヴ・K.セジウィック,Eve Kosofsky Sedgwick,上原早苗,亀沢美由紀
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2001/02
- メディア: 単行本
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