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【連載】M NEWS CLASSIC 第3回「それは私の恋人――マリー・アントワネットの作曲活動」

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三重県総合文化センターの情報誌「M NEWS(エムニュース)」の連載コラム。

音楽がどんな経緯で生まれたのか。

どんな時代、どんな人に愛されたのか――そんな「ミュージックシーン」を切り口に音楽にアプローチしています。

第3回の主人公は、やっぱりこの人、マリー・アントワネット

人気作曲家グルックによるウィーンでの英才教育や、ヴェルサイユ宮殿にある王妃御用達ハープのエピソードなどをご紹介しました。

MNEWS vol.116

 

そして2017年3月5日(日)は、「カルレク!セミナー」開催!

テーマはもちろん、「マリー・アントワネットの音楽会」です。

1月11日(水)リリースのコンピレーション・アルバム「マリー・アントワネットの音楽会」(選曲・執筆:高野麻衣)の発売を記念して、収録曲やブックレットの「回想録」の裏に隠された知られざるエピソードを、たくさんご紹介します。

もし、あなたが、18世紀のヴェルサイユ宮殿にタイムスリップしたら?

――このサロンは、そんな「もしも」を体験していただく「空想の音楽会」です。

私たちの永遠のプリンセス、マリー・アントワネットの生涯を通して知る、クラシック音楽の歴史や魅力。紅茶とお菓子を囲んだすてきな午後を、みなさまと分かちあえたら幸いです。

クラシック音楽の魅力を“ときめき”の視点から楽しみたい、そんなMNEWS読者の皆さまをお招きする1日限りの音楽サロン(無料ご招待)。

「MNEWSを初めて読んでみたよ!」という方も大歓迎だそうです!

普段なかなかお目にかかることのできない、中部地方・関西地方などにお住いの皆さまにお会いできるのを、心から楽しみにしています。

マリー・アントワネットの音楽会|イベント詳細|三重県総合文化センター

 

それにしても、このところよく思うのです。

大衆によって固定されたイメージの影響力って、ほんとうに偉大で残酷だと。

マリー・アントワネットは決して、ケーキを食べてドレスを買っていただけの無知な女ではありません。

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない?」というのはまったく別人の発言だし、20歳やそこらの若いころに粋がったり遊んじゃったりも誰にでもあることで、アラサー以降の彼女の振る舞いは当然、威厳ある王妃そのものだったと言われています。

そして革命勃発後は、国を治める者としての自覚を持ち、夫の国王ルイ16世を時にリードし、政治家ミラボーをして「国王のそばには男が一人しかいない。それは彼の妻だ」と言わしめるほどでした。

王族貴族のの使命たる、文化の守護者の仕事に関しても、若いころから一生懸命取り組んでいました。

下の動画は、2006年の映画『マリー・アントワネット』の未公開シーン。自分の師匠であるグルッグの代表作、オペラ『オルフェとウリディス』のパリ初演のため尽力し、ドヤ顔をしている王妃がいとおしい!


Marie Antoinette Deleted Scene-Second Opera(good quality!)

 

聖女だとも思わないけれど、おなじ働く女性として、あるいは母として、共感するところがありすぎるくらいある――マリー・アントワネットって、現代の私たちにとってそんな存在じゃないかと思います。

それを教えてくれるのが、彼女が作曲した「音楽」だと、私は思います。

しかし、楽譜は嘘をつかない。マリー・アントワネットが作曲したなかでも最も有名な歌曲「それは私の恋人」は、田園を舞台に羊飼いと村娘の恋を描いた詩人フロリアンの歌詞に曲をつけたもの。音楽を愛し、花々や自然を愛し、子どもたちと、健やかで美しいすべてのことを慈しんだマリー・アントワネット。素朴な響きは、「ほんとうのマリー・アントワネット」を私たちに教えてくれるようだ。

もはや親友のように思える彼女のために、この啓蒙活動と研究をつづけていきたいといま、強く思うのです。

 

www.center-mie.or.jp

マリー・アントワネットの音楽会

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マリー・アントワネット (初回生産限定版) [DVD]

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