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夏のなごりの薔薇 【映画編】

不作だった夏の間、新作映画を見なかった。
そのかわり、以前見逃していたいくつかがDVD化されたため、9月から鑑賞再開。

善き人のためのソナタ
(Das Leben der Anderen/06年ドイツ)

すばらしい邦題に惹かれて、ずっと気になっていた。
1984年の東ベルリン。国家に忠誠を誓う国家保安省(シュタージ)局員ヴィースラー大尉*1は、反体制の疑いのある劇作家ドライマンと、その恋人の舞台女優クリスタを監視するよう命じられる。ドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは徹底した監視を開始する。しかし、音楽や文学を語り合い、深く愛し合う彼らの世界にヴィースラーは次第に共鳴していく。そして、ドライマンがピアノで弾いた「善き人のためのソナタ」という曲が、ヴィースラーの心を激しく揺さぶった……
音楽は、ガブリエル・ヤレド
物語のラスト、このタイトルの意味の深さがずしんとやってくる。
涙が止まらなかった。
ヴィースラーがしたことは、正しいというより美しい。
もし老いた彼が1冊の本を手に、ひとりで生きているとしたら、私がいって抱きしめてあげたい。

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD]

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD]

 

 

サンキュー・スモーキング
(Thank you for Smoking/'06年アメリカ)

こちらはシリアスでなく、終始オシャレなブラックユーモア風味なのだが、ロビイストという職業についてよくわかり、また考えさせられる作品。そして、最後にホロリ。
私は嫌煙家だし、“知的エンターテイメント”というコピーには失笑するが、今回ばかりはぴったりかも。
ブラック・ダリア』のタフガイぶりも記憶に新しい、アーロン・エッカートの魅力によるところ大。公式サイトもなかなかしゃれている。

 

いとしのアクアマリン
(Aquamarine/'06アメリカ)

最後にガールズ・ムーヴィーを1本。
なにしろアリス・ホフマンの児童文学(少女小説?)『恋におちた人魚』(アーティストハウス刊)が原作だから、『プリティ・プリンセス』なみに「なかよし」的。
はじけるように元気なドジっ子ヒロイン(人魚)と地味女子ふたり*2の熱い友情。
たびたびスローモーションで登場するヒーローに、妹と爆笑した。
フロリダの太陽と、アクアブルー&ピンクの少女たちのファッション、インテリアも楽しめる。

 

*1 だからこそ、ヴィースラー役のドイツ人俳優のウルリッヒ・ミューエ死去のニュースはショックだった…
ご冥福を心からお祈りします。

*2 友人のひとりを新人女優エマ・ロバーツ(左)が演じている。
名前のとおり、ジュリア・ロバーツの血縁(姪)。口元など特にそっくりだから、注目してみてほしい。