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COCO before CHANEL

【親仏家のためのアジェンダ 特別編】

主演女優のマリオン・コティヤールアカデミー賞を受賞するなど、世界中で評価され、興行的にも成功した『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』のおかげで、フランス映画市場に伝記映画ブームが起こっている。*2

フランス人はもともと、有名人の生活に関心をもつことをシックではないと考えている。だからこれまでフランスの伝記映画は、ナポレオンや故ミッテラン大統領など、歴史上の重要人物に限られていた。
しかし『ピアフ』の成功で“偉人”とはいえない、より大衆受けした有名人の伝記映画プロジェクトが増加したのだ。
ご存知リュック・ベッソンのヨーロッパ・コープも、『悲しみよこんにちわ』で知られる小説家、フランソワーズ・サガンの伝記映画"Sagan"の配給権を獲得したという。
"Sagan"の製作と監督を手がけるディアーヌ・キュリスは、映画では予算がかかりすぎて無理だろうと、はじめはFrance Televisionsと370万ユーロでテレビ映画としての契約を結んだ。
ところが『ピアフ』を受けて、"Sagan"も劇場用映画にするべきと翻意、テレビ局と交渉した結果、テレビと映画双方が同時進行することになった。
6月に映画が公開され、その3ヶ月後には早くもテレビ放映されるという。

このほか、1920年代パリでもてはやされたアメリカの黒人エンターテイナー、ジョセフィン・ベーカーの伝記映画プロジェクトも進行中。
インディーズ系の製作会社Thelma FilmsがStudio Canalとこの企画に参加していて、現在アメリカ人の監督を探している。
 
  
とりわけ注目されているのが、ココ・シャネルの半生を描いた"Coco before Chanel"
主演は『アメリ』や『ダ・ヴィンチ・コード』で知られるオドレイ・トトゥ。制作はインディーズ系のHaut et Courtで、監督は『ドライ・クリーニング』(なつかしい!)のアンヌ・フォンテーヌ。
この作品への関心は非常に高く、ベルリン映画祭のマーケットでも引っ張りだこ。映画がまだ作られていない段階で、すでにほとんどの国の配給が決まってしまったそうだ。
タイトルどおり、成功前夜の貧しいがたくましい、機智に富んだ若き日のシャネルの物語。
このようなシャネル像はすでに1981年、イギリス人監督ジョージ・カッツェンダーによって映画化されている。英仏合作で、主演はマリー=フランス・ピジェ。
ティモシー・ダルトンがココの“運命の男”を演じていたのが印象的だった。
(そう、シャネルと英国男は切っても切れない!)

この"Coco before Chanel"のほかにも、ココ・シャネルの波乱万丈の人生を描く伝記映画が、それぞれ別の監督、キャストで撮影される予定だ。
ダニエル・トンプソン監督が手がける1作は、未だにタイトルやキャストが明されていない。
方や、『フレンチ・コネクション』や『エクソシスト』などでおなじみのヒットメイカー、ウィリアム・フリードキン監督作品。
タイトルは"Coco & Igor"で、ココがすでに成功を収めていた20年代を舞台に、作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーとの情熱的な愛を描く。
シャネルを演じるのは『レディ・チャタレイ』でセザール賞にも輝いた仏人女優、マリナ・ハンズ。フリードキン監督のこと、ナチスとの絡みも踏まえたサスペンスなど期待せずにはいられない。  

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