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【掲載情報】「池田理代子 デビュー50周年記念展」オフィシャルブックにて、「池田作品×音楽」エッセイ

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3月8日の国際女性デーにスタートした「池田理代子 デビュー50周年記念展 -ベルばらとともに-」。圧巻の原画の数々、もうご覧になりましたか?

日本橋を皮切りに全国巡回するこの展覧会のオフィシャルブックに、光栄にも「池田作品×音楽」エッセイを寄稿させていただきました。

 

メインに取り上げたのは、ドイツ・レーゲンスブルク音楽学校からはじまる長編大河ロマン『オルフェウスの窓』。

「夜目にも黄金にむせかえるミモザ」でおなじみフォン・ベーリンガー屋敷での「ロマンス」や、アマーリエ・シェーンベルクの名前の秘密、主人公イザークの人生に大きな影響を与える実在のピアニスト、ヴィルヘルム・バックハウスのご紹介。

ほかにも4楽章の交響曲のような物語の構成や、モノローグの配置で変化する音楽の質感などなど、随所に感じる池田先生の音楽愛をまとめました。

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『ベルばら』の大ヒットから数年、池田先生が「音楽への思いを存分に」出しきるために描いたという『オルフェウスの窓』。

その愛は尽きることなく、ついに1995年、池田先生は45歳で音楽大学に入学。現在も声楽家として活躍する傍ら、若い音楽家たちのための自主公演を続けていらっしゃる。

当時音大受験を夢みる少女だった私は、まったく違う2つの世界をまたぎ、すべての夢を実現している姿に強烈に憧れ、文庫化されたばかりの『ベルサイユのばら』を手に取ったのです。

 

私が池田先生の作品を読んで感じるのは、音楽愛だけではありません。

どんなテーマでも、誰が主人公でも、「女子いかに生くべきか」を描きつづける、ぶれない姿勢です。

たとえば『オルフェウスの窓』は、「女子」の目線から読んでもじつに多彩だ。個人的には前述のアマーリエや、アレクセイの亡兄の婚約者・気高き闘士アルラウネ、世界的ヴァイオリニストにしてロシア革命軍のスパイでもあるアナスタシアなどが好きだったが、最も心に残ったのは、のちに作曲家となるイザークの教え子クララの存在だ。

おそらくモデルは、ピアニストのクララ・シューマン。女性の自立はまだ遠く、淑女にとっての音楽がいわゆる“お嬢さん芸”でしかなかった時代、才能を見出され、自らの存在をかけて音楽家の道を志す少女。

「わかるでしょう おとうさま!? クララを舞台に立たせて!!

どんなに傷ついても泣きごとなんかいわないわ 外の世界へわたしを飛びたたせて!!」

クララの叫びに、作者の思いが染み入ってたまらなかった。「自分の生きる世界をこの手でつかみたい」――そんな少女がいる限り、池田さんは女子を叱咤激励しつづけるのだと思う。

池田先生への尊敬と感謝を形にできたこと、朝日新聞出版さまとわが友S、そして池田理代子プロダクション様に感謝いたします。

池田理代子 デビュー50周年記念展 -ベルばらとともに-」は3月20日まで、日本橋高島屋にて開催中。その後、大阪・京都・横浜を巡回します。

ぜひ会場で、お手に取っていただければ幸いです。

www.asahi.com

 

また、本展覧会を記念して発売されたぴあMOOK『ベルサイユのばら ぴあ』では、『少女漫画』『重版出来!』の松田奈緒子先生へのインタビューを担当させていただきました。

聡明な松田先生による愛いっぱいの『ベルばら』作画解説には、鳥肌モノの発見がいっぱい。傑作群像劇の裏にある強いメッセージはもちろん、マリー・アントワネットへの尊敬も新たになったインタビューの全貌は、ぜひ本誌にて!

ベルサイユのばらぴあ (ぴあMOOK)

ベルサイユのばらぴあ (ぴあMOOK)

 
Wilhelm Backhaus: The Concerto Recordings

Wilhelm Backhaus: The Concerto Recordings