【連載】Febri「アニメファンのためのマンガ案内」第6回『憂国のモリアーティ』
カルチャーマガジン『Febri』(一迅社)でのコミック・リコメンド。
「アニメファンにも読んでほしいマンガ」をテーマに、ジャンルを問わず注目の作品をご紹介しています。
第6回は、ホームズの宿敵の語られざる物語『憂国のモリアーティ』。いま最も気になる「宿命のライバル」たちの関係性について、温めてきた思いを綴らせていただきました。
「真実はいつもひとつ。でも正義はそう、涙の数だけ……」。
福山雅治ソングにこんなに泣ける日がくると、誰が予想しただろうか。映画『名探偵コナン ゼロの執行人』に通う日々のなか、主題歌をくり返し聴いていてふと思い出したのが、彼のことだった。
ジェームズ・モリアーティ。コナンや赤井も敬愛する名探偵シャーロック・ホームズの、宿命のライバルだ。通り名は「犯罪界のナポレオン」。若くして優れた物理論文を発表した元数学教授。自らは姿を見せず、その高い知能を駆使し「蜘蛛の巣の中央にいるよう」に巨大な悪の組織を操る天才。あの自信家のホームズに「知力は同等」と認めさせ、「もし彼を倒すことができたなら探偵をやめてもいい」とまで言わしめた。『最後の事件』でホームズは、差し違える覚悟でこの宿敵に挑み、彼を道連れにライヘンバッハの滝に落下、死亡したと公表される(のちに帰還)。
『憂国のモリアーティ』は、そんな「名探偵の宿敵」を主役に据えたピカレスク・ロマンだ。2016年、「ジャンプSQ.」にて連載開始。「正典」と同じ19世紀末の大英帝国が舞台だが、近年の爆発的ホームズ・ブームを牽引したドラマ『SHERLOCK』やガイ・リッチー監督の映画版、あるいは「007」シリーズなどの人気要素を巧みに取り入れた竹内良輔の原作に、『監視官 常守朱』の三好輝による色気ある男たちが映える。
(後略)
モリアーティは「正義」のための「悪」の執行人だった、という物語。
”英国紳士じゃない”シャーロック・ホームズと、いかにも貴族出身風の好青年モリアーティ。黒髪と金髪。真実と正義ーーそうした符号が大ヒット中の『名探偵コナン』シリーズ(赤井秀一と安室透)と結びついたこともあり、「いま書かなければならない!」とものすごい熱量をもって執筆したコラムでした。
二人にしかわからない領域で、互角に闘い、天才の孤独を唯一分かちあえる――恋に限りなく近い、特別なライバルを私たちは宿敵、あるいはツートップと呼ぶ。
歴史しかり、ガンダムや銀英伝しかり。この関係性こそ、私が愛する物語の原型なのだと思います。
『名探偵コナン』の青山先生は先頃、前代未聞の「安室透人気」の理由について「多分赤井に勝てないところ」と語ったそう。モリアーティの魅力もまたそこだと思うし、私自身、そんな物語を早く形にしたいと考えています。
[2018.7.15 追記]
掲載後、竹内先生&三好先生のおふたりからとてもうれしいコメントを寄せていただきました。心より御礼申し上げます。
先達て発売された最新6巻のアイリーン・アドラー……最高でした。
いま発売しているFebriさんで、憂国のモリアーティの紹介記事を書いて下さっていますので、良かったら手にとってみて下さいね。
— 竹内良輔 (@nasekuni) 2018年6月11日
余談で、何目線なんだって感じですが、うまくて読みやすい文章にびっくりしました。 pic.twitter.com/DSxGvIT0Hz
本日発売のFebri Vol.49(一迅社さん)に『憂国のモリアーティ』の紹介記事が掲載されています。
— 三好 輝 (@344_hikaru) 2018年6月11日
原典含め、関連作品に関してもとてもお詳しいとお見受けするライター様…!
竹内先生がチラ見せしてますが、お見掛けの際はどうぞよろしくお願いします!https://t.co/sSRqgReRCp https://t.co/qa34gIEwn6
次号は8月中旬発売予定。どうぞお楽しみに!
- 作者: Febri編集部
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2018/06/11
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