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ヴィクトリアン強化月間

ヴィクトリア朝の絵画や文学は、日本でも、昔から広く親しまれている。
ラファエル前派の展覧会は毎回人気だし、ブロンテ姉妹やディケンズの小説は新訳が出版され、繰り返し映画化される。
シャーロック・ホームズ」も「不思議の国のアリス」も「ピーター・ラビット」も、ヴィクトリア朝文化から生まれたおなじみの“キャラクター”となった。
  
わたしの世代(のある嗜好の人びと)にとって『小公女セーラ』や『秘密の花園』のアニメーションは、1年をかけてヴィクトリアン・ライフを再現した、一種のファッション・プレートであった。
幼い心に植えつけられた憧れは、ペチコートのレース、色刷石版(クロモリトグラフィー)のスクラップ・ブック、薔薇の咲き誇る庭でのガーデニング、ティータイムの支度をするメイド、そして執事へと広がる。
わたしたちが高校生の頃からゴスロリが出現し、現代に至って“淑女風”ファッションやクラシック音楽、“ヴィクトリアンもの”マンガや「メイド喫茶」「執事喫茶」がもてはやされる背景には、なんらかのつながりがあるのではないか、とわたしは睨んでいる。
この秋は、そのなぞを明かすべくヴィクトリアンを探求し、語ってみたい。


第1弾はBunkamuraザ・ミュージアムで行われるミレイ展
ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-96年)の10代から晩年までの画業の全容を紹介する本格的な回顧展である。
ミレイは、早くから天才の誉れが高く、11歳という史上最年少でロイヤル・アカデミー(王立美術学校)への入学を許可される。
しかし、美術学校の授業や古い慣習に不満を抱き、1848年秋にダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントらと 「ラファエル前派兄弟団」を結成。
唯美主義的な幅広いジャンルの作品は、ヴィクトリアン絵画の象徴ともいえるだろう。

ロンドンのテート・ブリテンで2007年9月から始まった本展は、イギリスでも、1898年に開催された回顧展以来初めてのミレイの大規模回顧展として話題になったもの。
日英修好通商条約調印150年にあたるUK-Japan2008の公認イベントであり、代表作《オフィーリア》、《両親の家のキリスト》、《マリアナ》など、テート・ブリテンをはじめ、英国内外の主要コレクションから、油彩、素描など約80点を紹介している。
帽子ショップCA4LA×ザ・ミュージアムのコラボレーション企画(なんと第10弾!)も、今回はヘッドドレスの登場というのがニクイ。
《オフィーリア》をイメージしたゴージャスなヘッドドレスは、ちょいゴスちっくな秋のファッションアイテムとしても見逃せない。
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ラファエル前派―ヴィクトリア時代の幻視者たち (「知の再発見」双書)

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