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英国

【Travel】昼下がりのロンドン | 東京フィル100周年記念ワールドツアー

3月17日。小雨のパリから快晴のロンドンへ、ユーロスターで2時間。まるで太陽とともに旅しているような行程だ。到着したホールの楽屋口の両脇には、あたたかな陽光のなかで桜の花が咲き誇っていた。数時間後には、昨日に引き続き本番が待っている。 閑静なス…

晴雨計 第12回 「続・19世紀末マニア」

前回、2014年1月から三菱一号館美術館で開催される「ザ・ビューティフル――英国の唯美主義 1860‐1900」展の作品のなかに、幕末や明治を生きた岩崎弥太郎(三菱創業者)の所有物の「里帰り」があることを知り、「世界はつながっている」と幸福なため息を…

晴雨計 第11回 「19世紀末マニア」

先週末、三菱一号館美術館のプロデューサー恵良隆二さんにお会いする機会がありました。三菱一号館は丸の内にある赤煉瓦の建物で、三菱が1894年に建設した銀行を復元したもの。現在は美術館になっています。コレクションの中心は建物と同時代の19世紀…

【Movie】反逆者の矜持 | 『ダイアナ』

こんにちは、高野麻衣です。 言霊の力というのは大きいもの。年頭にプリンセス・イヤー宣言をしたおかげで、ここにきて数多くのプリンセス関連業務にお声かけいただくようになりました。有難いことです。愛を叫ぶことは、ほんとうに大切ですね。 そんななか…

【Art】女王陛下万歳!~秋の英国美術展スペシャル~

日曜日に、横浜洋館めぐりをしました。 学芸員の友人に歴史博物館(旧横浜正金銀行本店)を案内してもらい、そこで紹介されていた県庁(キングの塔)や税関(クイーンの塔)、開港記念会館(ジャックの塔)を眺め、山下公園の向かいにあるホテルニューグラン…

【Life】The Princess Year 2013~姫キャラでごめんあそばせ

あけましておめでとうございます。高野麻衣です。 昨年は、新刊『マンガと音楽の甘い関係』の執筆やたくさんの出会いを通して、自分の核を見つめなおす一年になりました。 とりわけ壮大なプロジェクトになりそうなのがこの、花園magazine。ずっとやりたかっ…

【Movie】アイリーン・アドラーという女/『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』

だれにだって「あこがれヒロイン」がいるとおもうのですが、あなたならだれを選ぶ? わたしは昔からヴィクトリア朝のロンドンと、ホームズと、彼の「美しきエレーヌ・アドラー」がだいすき。 それでいて峰不二子――「いい女っていうのはね、自分で自分を守れ…

【Movie】 秘密の花園

この春、仲間と「花園magazine」を創刊しました。 そもそもどうしてわたしたちの集りを「花園会」と名づけ、“雑誌”のタイトルにまで冠したのか――いろんな理由があるけれど、わたしの場合このバーネットの小説、そしてアニエスカ・ホランドによる映画を抜きに…

英国レディがゆく ~オーストラリア編

ロンドンに暮らす英国レディにとって、オーストラリアははるか遠くの野蛮な世界だ。 下層階級と同じ粗野な言葉を話す、荒くれものの金鉱掘りや牧童たち。 偏見は、事実上の独立を果たした1930年代でも変わることはない。 それでもレディ・サラ・アシュレイ(…

英国レディがゆく

そもそも、英国で「レディ」という言葉が、生まれよりもふるまいや感性、日々の生活様式において品のある女性について用いられるようになったのは、およそ19世紀半ばからだった。英国レディの起源は、大英帝国が世界の覇権を握っていたヴィクトリア朝(1837-…

Victorian Dictionary~英国王室史②

夜のリージェント・ドック。 船乗り上がりの老人が少年に語りかけている。 「エジプトにできた運河のせいで…古い船の時代はもう終わりよ。新しい時代が来るのさ」 シエル・ファントムファイヴが生まれた1875年、英国はスエズ運河のエジプト領土を購入してい…

Victorian Dictionary~英国王室史①

昨夜の『シエル・ファントムハイヴの事件簿』『黒執事』は、歴史ヲタにはたまらないオリジナルストーリー。 第16話 「その執事、孤城」~あらすじ ファントムハイヴ家が所有するラドロウ城に幽霊がでるため、ホテルの改装工事の中止依頼が来ているとの報告を…

Victorian Dictionary~英国四季暦

昨夜の『黒執事』が季節感たっぷりで愉しかったので、英国の昔ながらの暦をおさらい。 1月1日 New Years Day 1月6日 Twelfth Night (十二夜) /Epiphany (公現節) ■フロスト・フェアー(氷上マーケット) 17世紀から18世紀にかけて、冬になるとテムズ川は頻繁…

Victorian Dictionary~ダンディ

最近のわたしはいかなるときもヴィクトリアン・センサーを光らせている。 当然『伯爵と妖精』(集英社コバルト文庫刊)の動向は気にしている。『黒執事』と同じくヴィクトリア朝の英国を舞台とし、同時にアニメーションの放映がはじまるなど、なにかと比較さ…

Victorian Dictionary~執事

執事喫茶に『黒執事』、話題の新ドラマも『メイちゃんの執事』(フジテレビ)。 いわゆる“イケメン執事”のブームはとどまることを知らない。 彼らは、若く、美しく、紳士的にお嬢様(あるいは坊ちゃん)にかしずき、優雅な茶器で紅茶をサーブし、ときには恋…

ロージー・オータムナル

ヴィクトリアン強化の続行を宣言したとたん、世界のKitchenから(c)キリンビバレッジのニューフェイスについて報告を頂いた。 秋らしいダージリン。もちろん、イングランドの知恵が採用されている。 「香りつきのダージリン茶」というよりは、まさに「ドライ…

シエル・ファントムハイヴの事件簿

あるいは「ファントムハイヴ家の犬」? そんな様相を呈してきた『黒執事』である。 BGM: 221B, BAKER STREET(グラナダTV『シャーロック・ホームズ』O.S.Tより) 第7話「その執事、遊興」は原作にないオリジナルストーリー。法律の抜け穴をくぐり、裏で「犬…

復讐の炎は地獄のようにわが心に 萌え!

「ヴィクトリアン強化月間」、わたしの心のなかでは絶賛継続中。 月間どころかこの秋冬のテーマになってしまいそうなほど… アニメ『黒執事』(TBS)にハマっています!!! 原作以上に好きかもしれない。 自分でもびっくりですが、その経緯と、「なぜ萌える…

“残酷な神が支配する”英国ツアー

これまで語ってきたとおり、わたしのなかのヴィクトリアンおよび英国のあらゆるイメージは、これまで接した書物や映画の蓄積だ。 なかでも大きな存在が、世界名作劇場とグラナダ版ホームズ、そして萩尾望都である。 どれくらい大きいかというと、実際にロン…

ヴィクトリアン強化月間

ヴィクトリア朝の絵画や文学は、日本でも、昔から広く親しまれている。 ラファエル前派の展覧会は毎回人気だし、ブロンテ姉妹やディケンズの小説は新訳が出版され、繰り返し映画化される。 「シャーロック・ホームズ」も「不思議の国のアリス」も「ピーター…

ヘンデル・イヤーは来年です

そもそも「ヘンデル・フェスティバル・ジャパン(HFJ)」は、没後250年となる2009年を目指して、(なぜか)2003年から行われている。 東京オペラシティが開館10年を記念して3年がかりで始めたのも、 「バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)2007→2009ヘンデ…